No7  グリーンファイターと共に

(2002年3月/母C)

平成14年11月25日、最後の公式戦であるFCC大会・準決勝戦の朝、いつものようにユニフォームに着替えた息子に 「来週も試合ができるようがんばろう!」と威勢よく声をかけて送り出した。今日負けたら次がない寂しさと、 ひょっとしたら勝てるかもという期待感とが交叉し、何とも複雑な気持ちだった。

対戦相手は、前原エイトマン。まだ幼さが残る我がチームの子供たちとは違い、マウンドに立つ相手チームの ピッチャーの体の大きさと球の速さに慄然とする。緊張と不安の中、試合は始まった。 我がチームは相手の立ち上がりをたたき、1回2回と点を重ね、有利な試合展開。子供たちも自信満々でバッターボックスに立つ。 そんな我が子の勇姿を、笑顔で見つめるお母さんたち。誰もが勝利を確信していた。

この穏やかな時の流れに逆らうように、悲劇は起こった。終盤、一本のヒットをきっかけに、今まで静まり返っていた 相手チームの子供たちが歓声と共に一人、二人とホームベースを踏んでいく。まさかの逆転だ。

そして迎えた最終回、追いつかないまま試合は終わった。ベンチに戻ってくる子供たちに「ごくろうさま」の言葉をかけるも、 彼らは座り込み、うつむいたまま動かない。鼻水をすする声と共に、わずかに肩が揺れる??泣いているのだ。 皆、目を真っ赤にして泣いている。逆転負けした悔しさなのだろうか?最後の公式戦を終えたという寂しさなのだろうか? それとも、負けはしたものの、ここまでやれたという充実感なのだろうか?今までにない予想もしなかった光景に、 見ている者の胸にも万感の想いが熱く込み上げてきた。

思えば、今から3年前。このチームは、同一学年の子供たちだけの単独チームとなった。他のチームに比べ、体格的にも技術的にも、 特に優れているという子はおらず、ただ「野球がうまくなりたい。試合でヒットが打ちたい」と夢見るごく普通の野球好きな少年の集まりだった。

しかし、結果が求められる時期になると、ただ野球が好きなだけではすまされなくなった。高学年になり、 試合でなかなか思うような結果が出せない日が続いた。「お坊ちゃま野球?」と言われ、返す言葉もない辛い時期もあった。

そして迎えた最終学年。「今までの負けも失敗も子供たちが成長していく過程、6年生で結果を出そう」という監督・コーチの指導のもと、 子供たちも少しずつ、かつ、確実に変わっていった。野球が好きなだけの少年の内に芽生えた野球に対する「情熱」は、 1回戦から2回戦につなげる試合をするようになった。失敗を恐れない積極性も出てきた。チームワークも強固なものになった。 一人ひとりでは、まだ無邪気さや幼さが残る彼らも、チームとして戦う姿は、頼もしささえ感じるほどに成長していった。

公式戦の最後で見せた彼らの涙は、それぞれ意味合いは違うものの、この1年間の彼らの成長のあかしだったに違いない。

グリーンファイターとの出会いから4年。子供たちの頑張りや成長ぶりには、何度も感動させられ、 その一つ一つがかけがえのない思い出となっている。親として、こんな幸せなことはない。これから先、子供たちにとって、 さまざまな困難が待ち受けていると思うが、グリーンファイターで培った精神を忘れず、夢に向かった努力を重ねて欲しいと願わずにはいられない。

最後に、子供たちがここまで成長したのは、グリーンファイターに入部し、良き指導者と出会えたからこそで、親の力だけでは、 このような感動を得ることも与えることもなかったと思う。親が教えられなかったことを親に代わって教えてくれたグリーンファイターに心から感謝したい。

本当にありがとうございました。


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